Column of architectual photo by country-st

デジカメというもの

建築写真の現場で

デジタルカメラの進化により、誰でも(こういう書き方は適切ではないのかもしれないが)きれいな写真が撮れるようになった。このことは、我々プロにとっても喜ばしいことで
ohasi_yakei.jpg
作業効率が飛躍的に向上した。つい最近まで、建築写真と言えば4X5と言う蛇腹のついた大きなカメラで撮影することが常識であった。フィルムは10X12.5cmの大きさの1枚もので、暗室でカットホルダーというケースに裏表1枚づつ入れておき、これを必要と思われる数プラス予備分を持って行く。仮に10カットの予定なら、カットホルダーが15枚(なぜなら、私の場合、最低でも1カットに3枚は同条件でシャッターを切る。)プラス予備の分としてあと5枚分くらいは持って行く。当然、交換レンズや水準器ルーペなど細々したものもたくさんある。そして、しっかりした三脚(10Kgぐらいはある)と脚立は絶対必要。室内は6X7でお願いします。といわれて、ホッとしたものの、ボディ2台、交換レンズ各種、照明器具(ストロボなど)等々、実に大がかりな撮影であった。

hikaru_mizuumi.jpg

デジカメは良いことずくめ?

それが、デジタルカメラで撮影するようになってから、35mmタイプ(間違われてる人が多いですが、形が35mmカメラの一眼レフと同じだけであって35mmではないのです。)のデジタル一眼レフボディ2台と超広角ズームレンズ、標準系ズーム、望遠ズームぐらいと三脚(カーボン三脚ならかなり軽い)、照明器具は以前ほど大光量でなくても良いし実際に設置してある照明器具だけでも十分なことが多い。これは、ホワイトバランス機能と高感度にしても画質が良いためである。
超広角レンズの性能が良くなって、カメラの設置場所でヒキが無くても大丈夫なことが多いと言うこともありがたい。
先にも書いたが、最近のデジタルカメラは、高感度にしても画質が悪くならないのも助かる。以前なら、光量が少ないと雑音で画質がザラザラになったが、今はそれもない。そして、何よりなのが一度シャッターを切った画像でもすぐに確認をして、だめなら消すことによってもう一回撮影出来ると言うことだ。

一般の人たちは、デジカメはフィルム代現像代が要らない。と思ってる人が多いが実はフィルムの時よりも極端に少ないだけで、不要ではない。メモリーカードの予備も必要だし、カメラのバッテリーの予備も必要、ノートタイプパソコンも撮影には常に持ち歩く。そして、何より大変なのがデジタルカメラ本体の買い換えである。今のところ、ギリギリまで使って2〜3年ごとには買い換えている。それも、ボディだけで数十万円もする。最近は1000万画素以上になってきたから、もう普通の使用にはこれで十分だと思うが、画素競争はどこまで行くのか?

撮影後の仕事

この、撮影後の仕事がたいへんで、私の場合、RAW+JPGで撮影し、パソコンに取り込んだ後、RAW現像ソフトで必要カットを現像し、TIFFデータにするのだが、この現像が結構大変な作業で時間もかかる。必要なら修正もしなくてはいけないので、皆さんが思ってるほど楽ではない。
数十年前の暗室仕事をパソコンでするようなもので、目は疲れる、肩はこる、まあ、私の場合はパソコンを触るのがかなり早かったのであまり違和感はないが・・・。

しかし、パソコンソフトのバージョンアップやパソコン本体の買い換え、デジカメの買い換えなどもう、誰のために働いているのか・・・?

kimiosugata.jpg

冨江公夫 TOMIE Kimio

あっという間に写真家生活も30数年が過ぎ、若い頃から、何でも撮影してきたうちで建築写真が圧倒的に多く。自分でも、得意分野の一つである。建て売り住宅を撮影することもあるし、建築家からの依頼でこだわりの注文住宅を撮影することもあるが、いずれにせよ、その建物の「顔」を見ぬくこと と、建物の「心」というかコンセプトを理解し、写真にすること。が大事なことと思っている。建築写真家としてはまだまだ、中堅どころか・・・
生涯現役で行こう!!